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不動産賃貸業の法人化(法人成り)とは?

個人で不動産賃貸業を行っている場合で、一定の規模に達すると法人化を図った方が大きなメリットを享受できる可能性があります。今回は不動産賃貸業の法人化(法人成り)の方法やメリット・デメリットなどについて解説します。 &nbs […]

個人で不動産賃貸業を行っている場合で、一定の規模に達すると法人化を図った方が大きなメリットを享受できる可能性があります。今回は不動産賃貸業の法人化(法人成り)の方法やメリット・デメリットなどについて解説します。

 

不動産賃貸業が法人成りする方法

不動産賃貸業が法人成りする方法には次のようなパターンが考えられます。

 

①管理会社を設立する方法

個人で引き続き不動産賃貸を行い、法人が不動産賃貸管理を行う方法です。

個人から法人に対して支払う管理料が法人の収入となります。

 

②サブリース会社を設立する方法

個人で所有している不動産を法人へ賃貸し、法人でサブリースを行う方法です。

 

③不動産所有会社を設立する方法

個人で所有している不動産を法人へ譲渡し、法人で不動産賃貸を行う方法です。

土地・建物を法人へ譲渡するパターンと建物(または土地)のみを法人へ譲渡するパターンが考えられます。

 

②のサブリース方式は空室リスクを抱えることになるため、①の管理会社方式よりもリスクは大きくなります。また、③は空室リスクのみならず、不動産所有から生じるリスクを抱えることになるため、②のサブリース方式よりもリスクは大きくなります。

リスクが大きいほど、法人の役割が増えることになるため、法人で受け取る収益も多くなるものと考えられます。

 

 

不動産賃貸業の法人化(法人成り)のメリット

不動産賃貸業の法人化(法人成り)には次のようなメリットがあります。

 

メリット1:節税を図ることができる

個人で不動産賃貸業を行う場合は、所得に対して所得税がかかります。

所得税率は、所得が大きいほど、税率が高くなる累進課税となっており、最大で〇%です。

 

一方、法人税率(住民税や事業税も含む)は35%程度で、中小企業の場合は軽減税率も設けられています。

 

所得が高い場合には、法人の方が適用される税率が低くなります。

 

また、次のような点でも法人の方が節税を図ることができます。

個人の不動産賃貸業で得た所得は不動産所得としてそのまま課税され、そこから控除できるのは青色申告特別控除の最大65万円となります。

 

一方、法人から役員報酬や給与の形で収入を得た場合は給与所得となり、給与所得控除を使うことができます。この給与所得控除は最大〇〇万円ですから、控除できる金額も法人の方が多くなります。

 

ここではすべてを紹介することはできませんが、この他にも法人が使うことができる節税手段はいくつかあります。

 

なお、管理会社方式やサブリース方式では節税の効果は限定的となります。

(おすすめ関連記事)会社設立をすると節税ができる?6つの節税効果とは?

 

メリット2:相続対策を行うことができる

不動産を法人へ譲渡する場合、法人の株主を子や孫など将来相続することになる者としておくことによって、相続対策も同時に行うことができます。

 

法人に入ってくる不動産賃貸収入は法人のものです。つまり、その株主である子や孫などに帰属するもの、ということになります。

 

個人のまま所有していれば、賃貸収入から得る所得は、所有者個人のもの。その所得を貯めていたら、相続するタイミングで相続税がかかります。

 

うまく活用すれば相続時の不動産の相続も不要となり、相続税を節税することも可能になるのです。

 

不動産賃貸業の法人化(法人成り)のデメリット

不動産賃貸業の法人化(法人成り)には次のようなデメリットがあります。

 

デメリット1:不動産を法人に譲渡する際に費用がかかる

不動産所有会社を設立し、不動産の所有名義を法人に移管する場合は、個人から法人に対して不動産の譲渡を行うことになります。その際には登記費用(登録免許税・司法書士手数料・印紙税など)や不動産取得税などが発生しますし、譲渡価額によっては譲渡した個人に譲渡所得税(住民税を含む)が発生することになります。

また、個人と法人との間で譲渡代金をどのように精算するかも考えなければなりません。

 

デメリット2:金融機関の了承も必要となる

個人から法人に譲渡する不動産に抵当権が設定されている場合は、金融機関の承諾も得る必要があります。節税になることや相続対策になることは金融機関にとっても悪いことではありませんから、スキームに問題なければ応じてくれる可能性はあります。しかし、効果を説明する正確な資料が必要となりますし、承諾のための時間もかかります。

 

デメリット3:会社設立や維持のための事務負担やコストがかかる

会社を設立すると、設立する際にコストがかかる上に、会社設立後も毎年、税務申告して納税をすることが必要となります。法人の税務申告は、個人の税務申告よりも複雑です。また、赤字の場合でも、住民税の均等割り(最低7~8万程度/年)は必ず支払わなければなりません。

さらに、会社から役員報酬や給与を支払う場合には、社会保険への加入も必要となってきます。会社を維持しているだけで、事務負担やコストが生じることになります。

(おすすめ関連記事)資産管理会社とは?設立するメリット・デメリットや注意点など

 

株式会社と合同会社どちらを設立した方がいい?

不動産賃貸業で法人成りする場合、広く出資を募ったり、取引先や採用活動にあたって信用力を備えておく必要などは特にないと言えるでしょう。

また、金融機関から融資を受ける必要がある場合でも、合同会社だから融資を受けにくくなることはありません。プライベートカンパニーである限り、会社設立にかかる費用が安い合同会社でも大きな問題はないでしょう。

会社設立後の維持費用については株式会社と変わりませんから、会社設立にかかる費用が少し高くても問題なければ株式会社を設立することも考えられます。

(おすすめ関連記事)これから会社設立するなら株式会社と合同会社どちらがいい?

 

 

法人成りにあたってはメリット・デメリットをしっかりと検討しよう!

先ほど説明したように不動産の譲渡を伴う場合は、多くの費用が必要となることがあります。一度実行したら取り返しはつきません。実行時にどの程度の費用がかかるのか、また、それによって長期的にどのような節税や相続対策を図ることができるのか、様々な要素を考慮した上で、法人化をするかどうかを決める必要があります。

個人で行っていた不動産賃貸業の法人化を図るには、不動産の知識のみならず、相続の知識、個人や法人の税務など様々な知識が必要になってきます。社会保険も関係してくる場合があります。

失敗しないためにも、少しでも不安がある場合は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

みんなの会社設立を運営する「みんなの会計事務所」は、不動産、相続、税務、会社設立のプロが揃っていますので、安心してご相談いただくことができます。

 

 

まとめ

不動産賃貸業の法人化(法人成り)について解説しました。不動産所有方式の場合は、不動産を移すための費用がかかります。小規模の不動産賃貸業の場合はあまりおすすめではありません。一方、個人で多額の不動産賃貸収入がある場合は、大きな効果を得られる可能性がありますから法人化をできるだけ早く検討するとよいでしょう。

法人成りの流れや手続についてはこちらの記事も参考にしてください。

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