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個人事業主が法人成り(法人化)するときの流れや注意点

個人事業主の法人成りには節税や信用力の向上などのメリットがあります。個人事業が大きくなってきたタイミングで法人成りを検討するとよいでしょう。今回は、個人事業主が法人成りするときの流れや注意点について解説しました。 &nb […]

個人事業主の法人成りには節税や信用力の向上などのメリットがあります。個人事業が大きくなってきたタイミングで法人成りを検討するとよいでしょう。今回は、個人事業主が法人成りするときの流れや注意点について解説しました。

 

個人事業主の法人成り(法人化)とは?

個人事業主の法人成りとは、これまで個人名義で行っていた事業を、新たに設立した会社に移管し、以後、会社名義で事業を行っていくことをいいます。

法人成りには、節税や信用力の向上といったメリットがあるため、事業が大きくなってきたタイミングで法人成りを図ることが多くあります。

 

個人事業主が法人成りするときの流れ

個人事業主が法人成りするときの一般的な流れは次のとおりです。

1.会社を設立する

まず会社を設立する必要があります。

事業の規模などを踏まえて、株式会社にするか合同会社にするか、資本金にいくらにするか、決算期をいつにするかなどを慎重に考える必要があります。

2.(許認可が必要な業種の場合)許認可を取得する

許認可が必要な業種の場合は、許認可を取得するまでは営業ができないため、会社設立後すぐに許認可取得のための手続きを行いましょう。

3.資産・負債の引き継ぎをする

個人事業で使用していた固定資産や棚卸資産を法人に譲渡するなどして法人に移管する必要があります。また、借入金などの負債がある場合は、金融機関と交渉して、借入金の取扱いをどうするかを決めなければなりません。

4.取引先などとの契約変更を行う

取引先との契約や事業所の賃貸契約などについて契約変更を行う必要があります。

従業員の雇用契約の巻き直しや社会保険関係の手続きも必要です。

5.個人事業の廃業届を提出する

次の書類を所轄の税務署に提出します。

①個人事業の開業・廃業等届出書の提出(必ず必要)

②所得税の青色申告の取りやめ届出書の提出(青色申告事業者の場合)

③消費税の事業廃止届出書の提出(消費税の課税事業者の場合)

④給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出(給与支払いがある場合)

⑤所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出(予定納税がある場合)

 

なお、廃業した年の確定申告は翌年の3月15日までに行います。

 

個人事業主が法人成りするときの注意点

個人事業主が法人成りするときは次のような点について注意が必要です。

注意点1:会社設立の登記申請をしてもすぐに取引ができない

会社の設立登記申請を行っても、登記完了までに一定の時間が必要です。

また、会社の設立登記が完了してからも、金融口座開設、許認可申請や名義変更などに時間がかかります。そのため会社設立してもすぐに法人名義での取引ができないことがあります。これらにかかる時間を十分考慮して、会社を設立するタイミングを考えましょう。

注意点2:法人への資産の譲渡に際して、税金が発生する可能性がある

法人成りの際に、個人事業で使っていた固定資産や棚卸資産を法人へ譲渡する必要があります。その場合、個人に譲渡益が生じ、それに対する所得税等がかかってくることがあります。また、消費税の課税事業者の場合は、消費税の課税取引となります。

個人から自身がオーナーである会社に譲渡する場合でも、税金がかかってくることに注意が必要です。

注意点3:事業税の見込控除を忘れない

個人事業主の場合は、個人事業税が発生することがあります。この個人事業税は、申告が必要な年の翌年に納税通知書が届き、そのタイミングで必要経費にすることができます。

しかし、廃業した年の翌年は事業の所得がないため、必要経費に計上しても税金が減ることにはなりません。

 

例えば、2023年の途中に個人事業主を廃業した場合、2023年の所得に対する個人事業税の納税通知書は2024年に届き、納めることとなります。この事業税は、2024年に必要経費にすることができますが、2024年には個人事業の所得がないため、所得税を減らすことができません。

そのため、事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除(事業税の見込控除)を行うことができます。

 

事業税の見込控除できる金額は次の計算式で計算します。

 

見込控除額=(A+-B)×C÷(1+C)

 

A:事業税の課税見込額を控除する前の廃業した年の事業に係る所得の金額

B:事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算(または減算)する金額

  加算:青色申告特別控除額の金額

  減算:事業主控除額(最大290万円)

R:事業税の税率3%~5%(業種により異なる)

注意点4:予定納税額の減額申請を忘れない

予定納税が必要な年は、廃業後も原則として予定納税を行う必要があります。

しかし、廃業等によって、申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額に満たないと見込まれるなど一定の場合は、減額申請を行うことにより、予定納税の減額をすることができます。

予定納税額の減額申請をするには、期限までに、税務署に「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」を提出する必要があります。

この提出を忘れると、予定納税が必要となるため、忘れないようにしましょう。

 

 

まとめ

個人事業主が法人成りするときの流れや注意点について解説しました。会社を設立して、法人成りをするには様々な手続がありますし、注意点もあります。これから法人成りを考えるならしっかりと理解しておいてください。

大阪で個人事業主の法人成りでお困りの場合は「みんなの会社設立」にもお気軽にご相談ください。

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