SDGsや環境配慮への必要性から、リサイクルやリユース、循環型社会といった単語を目にすることが増えています。我々にとって身近なリサイクルといえば、リサイクルショップや古着屋、古本屋等が思い浮かぶのではないでしょうか。 し […]
古物商許可とは?必要となる場合や申請方法を解説
SDGsや環境配慮への必要性から、リサイクルやリユース、循環型社会といった単語を目にすることが増えています。我々にとって身近なリサイクルといえば、リサイクルショップや古着屋、古本屋等が思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし誰でも自由に中古品の売買を行って良いわけではなく、リサイクルショップ等を開業するには、所定の要件を満たし、古物商の許可を受ける必要があります。
当記事では、どのような場合に古物商の許可が必要となるのか、許可を受けるにはどのようにすれば良いのかについて解説しているため、中古品の売買を事業として行おうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
古物商とは?
古物商とは、古物営業法に規定される古物の販売を事業として行う企業や個人のことです。リサイクルショップや古着屋、古本屋等が古物商の典型的な例となっており、最近目にすることの多い、フリマサイトやオークションサイトでの中古品販売も古物商の許可が必要となる場合があります。
なぜ古物商の許可が必要なの?
古物商の許可は、盗品の売買の禁止や、盗品の早期発見を容易にして、被害の迅速な回復を図り、窃盗その他の犯罪を防止するために必要とされています。そのため、盗難の可能性の低い物品等の売買では、許可が不要となることがあります。
古物とは?古物の定義
古物とは、次の物品を指します。
一度使用された物品
物品本来の用途で一度でも使用されたのであれば、古物とされます。また他人ではなく自分が使ったものも含みます。
使用されない物品で使用のために取引されたもの
使用する目的で購入したが、一度も使用せずに新品の状態で売却された物品が該当します。使用されていない新品であっても古物とされる場合があることに注意が必要です。
これらの物品に幾分の手入れをしたもの
物品本来の用途や目的を変更しない程度の修理や加工を加えた物品が該当します。物品の形状に本質的な変更を加えないと利用できない鉄くず等は含まれません。
ただし、上記に該当しても全ての物品が古物となるわけではなく、古物は、古物営業法施行規則で次の13種類と定められています。
・美術品類
・ 衣類
・ 時計、宝飾品類
・ 自動車
・ 自動二輪車及び原動機付自転車
・ 自転車類
・ 写真機類
・事務機器類
・機械工具類
・ 道具類
・ 皮革、ゴム製品類
・ 書籍
・ 金券類
上記に該当すれば古物として扱われますが、盗難の可能性が低い物品や、盗難されても容易に発見できる物品、消費してなくなるような物品、本質的に変化を加えなければ使用できない物品は古物とはなりません。次のような物品が古物とならない具体例です。
・総トン数が20トン以上の船舶
・ 航空機
・ 鉄道車両
・ 総トン数1トンを超える機械で、固定され容易に取り外しができないもの
・ 総トン数5トンを超える機械で、自走及び牽引することができないもの(船舶除く)
・ 庭石、石灯篭、不動産
・ 消費してなくなるもの(食品、飲料、化粧品等)
・ 本来の性質を変化させたもの(服をリメイクしたバッグ等)
・ 原材料となるもの(空き缶、金属原材料、古新聞、被覆いのない古銅線類等)
・ 再利用せず捨てるもの(一般ごみ、廃品等)
・ 実体がないもの(電子ギフト券等)
古物商の許可が必要な取引とは?
<許可が必要な場合>
古物商の許可が必要となる取引は次の通りです。
・古物を買い取って売る
・ 古物を買い取って修理等して売る
・ 古物を買い取って使える部品等を売る
・ 古物を買い取らないで、売った後に手数料を貰う(委託売買)
・ 古物を別のものと交換する
・ 古物を買い取ってレンタルする
・ 国内で買った古物を国外に輸出して売る
古物の売買に許可が必要となるのは当然ですが、交換やレンタル、委託売買等でも許可が必要なことに注意する必要があります。
<許可が不要な場合>
次の場合には、古物商の許可は不要となります。
・自分で使っていた物を売る
・ 自分で使っていた物をオークションサイトに出品する
・ 無償でもらった物を売る
・ 相手から手数料等を取って回収した物を売る
・ 自分が売った相手から売った物を買い戻す
・ 自分が海外で買ってきたものを売る
ただし、自分で使っていた物を売る場合であっても、事業として反復継続するのであれば、許可が必要になります。またオークションサイトへの出品であっても、はじめから売却差額で利益を得る目的であったのであれば、同様に許可が必要です。
古物商許可の申請
古物商の許可申請は、営業所を管轄する警察署を経由して、公安委員会に対して行います。許可を受けるためには、必ず営業所が必要となるため、自分の住居が営業所として利用可能か確認をすることが必要です。
また成年被後見人や被保佐人、破産者で復権を得ない者等、一定の欠格事由に該当する場合には、古物商の許可を受けることができません。
必要書類等
古物商の許可申請には次の書類等が必要になります。
・許可申請書
・略歴書
・ 本籍が記載された住民票の写し
・ 誓約書
・ 身分証明書
・ URLの使用権限があることを疎明する資料(ネットを利用して売買を行う場合)
上記は、個人が申請する場合で、法人が申請する場合には、法人の定款と法人の登記事項証明書が必要となります。また営業所には、必ず管理者を置くことが必要なため、申請者本人以外を管理者とする場合には、略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書は本人(法人の場合は役員全員)と管理者のものが必要です。
営業所が賃貸物件の場合には、営業所の賃貸借契約書、使用許諾書が必要となり、中古車を扱うのであれば、駐車場の賃貸借契約書も必要となります。また営業所の見取り図を求められることもあります。
申請にかかる費用
古物商の許可申請には、19,000円の手数料が必要です。ただし、行政書士に申請代行を依頼した場合には、報酬が別途掛かることになります。
行政書士に古物商の許可申請代行を依頼した場合の報酬の相場は、個人法人ともに50,000円前後となっています。
まとめ
近年ではSDGsへの取り組みが重要性を増しており、今後より一層リサイクルショップ等古物の売買を行う事業への需要が高まって来ることが予想されます。しかし、事業を行うにあたって、古物に該当する物品か、許可が必要な取引か判断するには知識が必要です。
当記事では、古物の定義やどういった場合に古物商の許可が必要になるか解説を行ってきました。これから古物商の事業を始めようという方は、当記事で解説した知識を基に適正な許可申請を行ってください。