個人事業主として事業活動を行う場合であれ、会社を設立する場合であれ、現在勤めている会社を辞めてから起業をすることが、一般的と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし起業をするのに勤め先を辞めなければいけないという決 […]
会社員のまま起業するのはアリ?メリットとデメリットを解説
個人事業主として事業活動を行う場合であれ、会社を設立する場合であれ、現在勤めている会社を辞めてから起業をすることが、一般的と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし起業をするのに勤め先を辞めなければいけないという決まりはなく、会社員のまま副業として起業をすることも可能です。
当記事では、会社員のまま起業をする場合のメリットとデメリットについて解説を行っています。起業を考えている方は、是非自分の起業するタイミングを決める際の参考にしてください。
会社員の副業として起業が増えている
中小企業庁の公表する「小規模事業白書」によると、副業としての起業を希望する者や準備をする者である副業起業希望者と、副業起業準備者の起業の担い手に占める割合は、増加の傾向を見せており、このデータから副業として起業することに興味関心が持たれていることがわかります。
また日本政策金融公庫が公表した「2021年度起業と起業意識に関する調査」によると、事業に充てる時間が週35時間未満のパートタイム起業家の起業家全体に占める割合は、84.1%となっています。このことからも本業としてではないパートタイムや副業としての起業が主流となっていることがデータから見て取れ、同時に需要の高さを示すものにもなっています。
会社員のまま起業するメリット・デメリット
本業としてではない副業としての起業に興味関心が持たれ、実際に副業として起業を行っている場合が多いこともデータからわかりました。では実際に会社員が副業として起業する場合には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
本項では、会社員のまま起業するメリットとデメリットについて、項目別に解説を行っていきます。
会社員のまま起業するメリット
会社員のまま起業をするメリットには「収入の安定」「資金調達の容易さ」「周囲の理解の得やすさ」といったものが挙げられます。
収入が安定する
当然のことですが、会社を辞めて本業として起業する場合には、会社員時代と異なり収入の保証はありません。事業が上手く行けば問題ありませんが、そうそう上手く行くことばかりではなく、起業には失敗が付き物となっています。
資金不足や営業力不足など失敗の原因は様々であり、事前の準備や本人の努力次第で失敗を回避できる場合もありますが、天災地変による事業の失敗などは本人の努力ではどうにもなりません。その点会社員のままであれば、本業による収入の保証があるため、安心して起業することが可能です。
収入が不安定になることは、起業における不安の中でも大きなものとなっており、リスクを減らして安定した収入を確保したまま起業できれば、大変大きなメリットになります。
資金の借り入れが容易
副業としての起業であっても、事業を運営するためには事業資金が必要となってきます。本業としての起業に比べれば、規模も小さく額も少ないかも知れませんが、事業資金を全て自分で用意するのは難しいことです。
創業融資制度などを利用して借り入れできれば良いですが、融資には自己資金や事業経験などの条件もあり、審査に通ることはなかなか難しくなっています。そのため金融機関などを利用して借り入れを行うことになりますが、定期的な収入のある会社員であれば信用も高く、審査にも通りやすくなります。
事業の規模による程度の差こそあれ、事業資金がなければ事業運営を続けることはできません。これは副業としての起業であっても変わることのないものであり、資金調達が容易なことは起業においてメリットとなってきます。
周囲の理解を得られやすい
独身であれば自分の判断だけで起業することも可能ですが、家族がいる場合には、家族の起業への理解も得なければなりません。会社を辞めて起業するとなれば、リスクも大きくなり、家族もなかなか首を縦に振ることはできないでしょう。
しかし本業として会社員の身分を残したまま起業するのであれば、万が一起業に失敗した場合であっても、本業収入という保証があるため家族も安心することができます。家族や周囲の理解があれば、事業運営も行いやすくなるため、家族の理解を得ることは大切です。
会社員のまま起業するデメリット
会社員のまま起業をすることは、メリットばかりではなく、デメリットも存在しています。次からデメリットについて項目ごとに解説を行っていきます。
会社にばれる場合がある
働き方改革の推進により、副業を解禁する企業は増えています。しかし本業が疎かになることへの不安や労働時間管理の煩雑さなどから、副業を禁止している企業が依然として多いことも事実です。
公務員と異なり民間の会社員であれば、副業は原則として自由であることが基本です。しかし事実として就業規則などで副業を禁止し、違反した場合には何らかの不利益を課す企業も多く、そういった企業に勤めている場合には、会社員のままの起業にはリスクがあります。
会社を辞めてからであれば、気兼ねすることなく起業が可能ですが、それでは会社員のままで起業する場合のメリットも失ってしまいます。起業によって、会社からペナルティを課されることを避けるためには、会社の就業規則や雇用契約をしっかりと見直し、許された範囲内での活動かどうか確認することが大切です。
ワークライフバランスが崩れる
本業としての会社員を続けたまま、副業として起業すれば、起業した分の労働時間が増えることになります。時間は誰であっても変わらず、平等に1日24時間しかなく、副業に充てる時間はそれまで余暇に充てていた時間から取るしかありません。
余暇の時間もなく、働き詰めとなれば、到底ワークライフバランスの取れた生活を送ることはできないでしょう。また忙しさから仕事と私生活を分けることも難しくなり、長時間労働によって健康を害することにも繋がりかねません。
まとめ
仮に起業する場合であっても、勤め先を辞めて不退転の覚悟で挑む必要はありません。会社員としての安定した身分のままで起業を行うという選択肢もあり、副業としての起業も増加しています。
当記事では、会社員のまま起業をする場合のメリットとデメリットについて、解説を行ってきました。決してメリットだけというわけではなく、デメリットも存在する起業方法ですが、これから起業を考えている方は、是非当記事を参考に選択肢の1つとして加えてください。