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「深夜営業の届出」(深夜酒類提供飲食店営業開始の届出」)の申請手続きとポイント

飲食店が「深夜営業」をする場合には、保健所の営業許可を取得しただけではこれをすることができません。 営業許可とは別に、警察へ「深夜酒類提供飲食店営業開始の届出」(以下、「深夜営業の届出」という)を提出する必要があります。 […]

飲食店が「深夜営業」をする場合には、保健所の営業許可を取得しただけではこれをすることができません。

営業許可とは別に、警察へ「深夜酒類提供飲食店営業開始の届出」(以下、「深夜営業の届出」という)を提出する必要があります。

しかし、通常の営業許可が比較的簡単な手続きで取得できるのに対して、深夜営業の届出は、事務所の面積の測量が必要だったり、専門的な図面を作成して提出しなければならないなど、手続きの内容が専門的でわかりにくいものとなっています。

この記事では、深夜酒類提供飲食店営業開始の届出の概要と、営業許可との違い、届出時のポイントについて解説いたします。

 

 

深夜酒類提供飲食店営業(深夜営業)とは?

深夜営業の定義

「深夜営業」とは、「深夜(午前0時から午前6時)の間に、設備を設けて客に酒類を提供して営む飲食店営業」のことをいいます。

 

この要件に該当する場合には、警察に深夜営業の届出をしなければなりません。

しかし、深夜に営業する飲食店のすべてが「深夜営業」に該当するわけではなく、以下の要件に該当しない営業は深夜にこれを行っても、この届出をする必要がありません。

 

深夜営業の要件

・ 客に酒類を提供して営む

・ 主食と認められる食事を提供して営むもの(ラーメン屋、ファミレスなど)を除く

 

深夜営業の届出と営業許可の違い

深夜営業の届出と営業許可とでは、次のような違いがあります。

深夜営業の届出 営業許可
対 象 深夜に酒類の提供をする営業 飲食業の営業
種 別 届出 許可
提出先 警察署 保健所
期 間 届出から10日後に営業可能 施設検査後2~3日で許可証交付
施設検査 原則、施設の検査は行われない 必ず施設検査が行われる
難易度 難しい 容易

 

通常、届出は必要事項を記載した申請書に必要書類をつけて提出すればそれだけで受理されるものがほとんどですが、深夜営業の届出については、内容に不備がある場合には届出を受理してもらうことができません。そのため、一回で届出をするには、かなり高度な専門知識や測量のノウハウなどが必要となります。

 

深夜営業の届出を行うときの費用

深夜営業の届出は、行政への手数料や印紙の貼付などは必要ありません。

ただし、図面の作成や届出の申請を専門家に依頼した場合には、そのための報酬が発生します。

 

深夜営業の届出をしないとどうなる?

この届出をせずに深夜営業をした場合は、50万円以下の罰金が科せられます。

 

欠格要件

欠格要件とは、該当すると許認可などが受けられなくなるための要件のことをいいます。一般的な風俗営業許可については、一定の欠格要件が定められているのが普通ですが、深夜営業の届出についてはそのような欠格要件はないため、誰でも届出をすることができます。

 

 

深夜営業の届出のポイント

営業地域の要件

深夜営業は、次の用途地域でのみ行うことができます。

・ 商業地域

・ 近隣商業地域

・ 工業地域

・ 準工業地域

 

この用途地域を間違えて出店すると、「店舗を借りたのに深夜営業ができない」ということになってしまいますので、必ず事前に確認するようにしてください。

ただし、地域によっては例外的に、商業地域の周囲30m以内の「住居地域」「準住居地域」で営業が可能となっている場合もあるため、詳しくは管轄の警察署や行政書士へご相談ください。

※ 「深夜酒類提供飲食店営業開始の届出」は、行政書士のみが行うことができます。

 

 

営業所の設備要件

深夜営業の届出をするためには、次のような営業所の要件を満たす必要があります。

 

<営業所の設備要件>

◎ 客室の床面積が9.5㎡以上であること(客室が1室の場合は制限なし)

◎ 客室に見通しを妨げる設備(概ね1m以上)がないこと

◎ ショーを見せるなど、深夜において客に遊興させないこと

◎ 営業所内の照度を20ルクス以下としないこと

◎ 騒音または振動を条例で定める数値以下とすること

 

上記要件の通り、客室内には1mを超える見通しを妨げる設備を設置してはならないこととなっています。この1mを超える設備としては、椅子の背もたれ、パーティション、棚(壁際に設置されたもの除く)、観葉植物などがあげられます。

 

もし、客室内に1mを超える障害物がある場合には、その障害物を撤去するか、もしくはその場所から客室を分けなければなりません。

 

深夜営業での禁止行為

深夜営業では、次のような行為は禁止されています。

◆ 18歳未満の者を午後10時から翌日の日出時までの間において接客させること。

◆ 18歳未満の者を客として立ち入らせること。(保護者同伴の場合を除く)

◆ 20歳未満の者に酒類やたばこを提供すること。

◆ 深夜において客引きすること。

 

 

深夜酒類提供飲食店の「接待行為」は絶対ダメ!

深夜営業では、「接待行為」が禁止されています。

「接待行為」とは、「特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為」とされ、具体的には次のような行為を指します。

 

<接待行為の例>

◆ カウンターを超えてお客に同席する

◆ 特定のお客と長時間にわたって歓談する

◆ 特定の客やグループに歌やダンス、ショウを披露する。

◆ カラオケを勧めたり、歌の最中に手拍子をとったり、ほめはやす、デュエットをする

 

なお、2番目の「特定のお客と長時間にわたって歓談する」については、カウンター越しでも接待行為とみなされることがあるため注意が必要です。

もし、接待行為をする場合には、風俗営業の1号許可を取得する必要がありますが、風俗営業許可を取得した場合には深夜営業ができなります。

 

 

深夜酒類提供飲食店の届出に必要な書類

「深夜営業の届出」をするときには、以下の書類を提出する必要があります。

 

・営業開始届出書

・ 営業の方法

・ メニューの写し

・ 営業所平面図、営業所面積求積図、客室面積求積図、音響照明設備配置図

・ 申請者の住民票(本籍地必要)、外国人の場合は在留カードの写し

・ 飲食店営業許可証の写し

申請者が法人の場合は次の書類も追加で必要です。

・ 法人登記簿謄本(登記全部事項証明書)

・ 法人の定款の写し(原本認証が必要)

・ 役員全員分の住民票(本籍地必要)、外国人の場合は在留カードの写しなど

 

なお、風俗関連の許可や届出は、各警察署によって指導の内容が異なることが少なくありません。したがって、警察によっては、このうちの一部の資料だけでよかったり、逆にこれ以外の資料を求められることもあるため、必ず事前に管轄の警察署へ確認するようにしてください。

また、深夜営業の届出で提出する各種図面には、風俗営業許可に準じた特別の測量方法や記入方法が必要となります。したがって、通常の建設図面などでこれに代えることはできませんので、正しい知識と警察の指導(図面の作成についても、警察により細かい部分の指示がことなることがあります)のもとに作成する必要があります。

 

以上のように深夜営業の届出は、要件が特殊であり、申請や図面の作成に専門知識が必要となります。

しかし、これを事前に提出していない場合には違反となり、営業ができないだけでなく、罰金の対象となるため、必ず営業開始の10日前までに届け出を済ませておきましょう。

 

 

まとめ

深夜酒類提供飲食店営業について解説しました。深夜酒類提供飲食店営業の届出は、担当する警察署による独自ルールが設けられていることも少なくありません。他の届出のように記載例を見れば申請ができるというものとはなっていないので、はじめて申請する方は専門家のサポートを受けて行うことをおすすめします。

 

 

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